愛犬との死別により役割を失った女性の変化を通じて

担当している追波川河川仮設団地でのリハビリ支援事業での運動が終了しました。

今後は当法人の落合を中心に、おたがいカラダ作りサポーターに参加されている地域住民さんが、この取組みを引き継いでいきます。







◆今回はリハビリ支援事業を通して特に心に残った女性を紹介したいと思います。

毎回運動に参加されている82歳の女性にはある「日課」がありました。それは飼っていた犬と仮設内を散歩することでした。毎日欠かさず犬を連れて散歩していたことから、いつからかお巡りさんからも仮設団地内のパトロールを依頼される程になり、その女性にとって大切な「役割」となっていきいました。



しかし、飼っていた犬が亡くなってから外出機会が減り、今まで少し痛む程度だった膝がさらに痛むようになりました。その結果、犬の散歩と仮設団地内をパトロールするという役割を失うことになってしまいました。





私が女性にお会いした時の身体機能は、下肢の筋力:MMT2(徒手筋力テスト)ズボンの裾を手でつまんで何とか足を持ち上げるほど筋力は低下していました。立ち上がりや歩行により膝関節列隙に痛みが生じて顔が曇るほどでした。





そのため、その方に2つの自主トレーニングを週3回してもらうように提案しました。一つは椅子に座った状態での膝関節伸展を10秒×左右5回ずつ(等尺性収縮)を午前午後で2回、もう一つは床で膝関節の下にクッションを入れて等尺性収縮を行うクワドセッティングを上記と同じ回数を提案しました。





その後、2か月振りに女性とお会いした際、「最近、まわりの人から歩く姿勢が良くなったわねって褒められるのよ」と教えてくださいました。実際に歩く姿をみても以前よりも歩幅は広くなり顔の曇りもみられませんでした。本人からは立ち座りや歩行でも痛みはなく、最近は近所を杖なしで歩けるようになったとの事でした。





自分が何か特別な事をして得られた結果ではありません。なぜならリハビリ支援は月に1回しかありません。正直その1回で問題を解決するのは難しいと思います。だからこそ、難しいリハビリの知識や技術ではなく、簡単な運動内容を1個でも覚えて家で自主トレーニングが出来るようになればと毎回心がけてやってきました。それが今回は上手くかみ合わさって良い結果に繋がったのではないかと感じました。



◆大切な役割を失うことにより自らの身体まで失いかけていた女性が、懸命な自主トレーニングにより自信を回復させ、皆にその成果を認められるほど元気に回復されました。再び犬を連れて近所をパトロールする日も訪れるかもしれませんし、専門職の関わりがなくとも地域の皆さんに支えられながら、新たな日課や役割を自らの意思で手に入れているかもしませんね。



(理学療法士・小田智樹)

一般社団法人りぷらすweb site
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